08年夏の旅③ 羊の群れと葡萄畑のザナドウ
「どこまでも南に進んで、南氷洋を見に行くツアーもあるよ」と子供達に教えたら妙に乗ってきて、パース3日目は「マーガレットリバー・ツアー」に決まった。ただし英語ガイドしかなく、この日は一日、「英語の時間」となった。
ピナクルズより更に長距離の300Kmを今度は南に向かう。前日は日本人ばかり50人弱の満席ツアーだったが、あまり知られていないのか、英語だからか、こじんまりと20人程度で、しかも日本人は我々だけだった。
パースを8時に出発したバスはインド洋沿いに南へ走る。延々と低木の同じような風景が続く道に、時々、MANDURAH、BUNBURY、BUSSELTONといった街を通り抜ける。さながらロードムービーを見ているような気分になる。途中休憩した小さな寂れたドライブインもいかにもという感じだ。「イージーライダー」か「ハリーとトント」か。
ビルなどない低い街並み。唐突だが、学生時代、まだ関越が東松山までだった頃、クルマで254号沿いに、小川、寄居、富岡、松井田と抜けて軽井沢に向かっていたのを思い出した。ピーターフォンダには程遠いが、うーん、懐かしい。
BUSSELTONを内陸側に折れると、どこか北海道にも似た酪農風景が続く。広大な牧草地に牛や羊の群れがのどかに点在している。少しずつブドウ畑も増え、マーガレットリバーの町を過ぎれば、最初の目的地、ザナドウ・ワイナリーに到着する。竜の紋章のある門を入っても、どこまでもブドウ畑が続き、その奥にようやくゲストハウスが見えてきた。
僕だけでなく、ツアー客はみんな、この試飲が一番のお目当てのようだ。十数本のワインを順番にグラスに注いでもらって、みな一気にほろ酔いに。英語の説明は良くわからなかったが、僕も舌で好みを選んで、赤白二本をお買い上げ。
次は、直ぐ近くの猛禽類保護センターでランチタイム。食後に鷹のフライングショーを見学。それからマンモスケイブという鍾乳洞へ。どうせ風穴氷穴程度だろうと全く期待していなかったのだが、洞窟の中に入ってみると、凄いの一言。階段を登ったり降りたりして、その桁違いの大きさには、ただただ驚くばかりで、オーストラリアのスケールを改めて感じさせられた。
バスはさらに南下して、地図で言えばオーストラリア大陸の左下スミ、ルーウィン岬に向かう。
そこで待っていたのは、どこまでも青い空と白い灯台。そして子供達のお目当てのインド洋と南氷洋の境目の海。しばし眺めて、その先が南極であることを思うと、ほんとうに遠くまで来たものだ。
バスは引き返して、飛ばして、飛ばして、バッセルトンでのサンセットにまに合わせようとする。わがままな乗客と季節によって違う日の入り時間の為、ここは運転手兼ガイドの腕の見せどころだが、間一髪セーフ、お見事。インド洋に沈む夕陽を堪能できた。
バッセルトン桟橋は、2Kmも海にむかって線路が敷かれている不思議な光景で、アニメ千と千尋の海の駅のモデルになったという噂もあるという。余談だが、オーストラリアを旅していると、カタジュタの風の谷とか、宮崎アニメのモデルになったという土地にあちこち出会うが、全く根拠はないようだ。
桟橋の袂のレストランで日没を見ながら夕食を取り、パースへの帰路につく。ホテルに戻ったのは22時過ぎ。長い一日だったが充実したツアーだった。
途中通過したマーガレットリバーの町自体は小さな田舎リゾートで、観光地化もしておらず、古き良きパースやケアンズもこんな素朴さがあったのだろう。次に来る時には、ぜひ泊まってみたいと思った。
XANADU、フビライ時代の元の都が語源のようだが、桃源郷とか理想郷という意味があり、垣間見たマーガレットリバー地方は牧歌的な理想郷、まさにザナドウな土地に思えた。
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