今風、江戸の黄昏
「CG日本史シリーズ 江戸の風景」というムック本を買って、CGで再現された江戸の景色を眺めている。花のお江戸にもちろん高いビルなど無く、ランドマークの江戸城が、市中の何処からでも見えたようだ。遠くには山々、近くは丘あり谷ありといった土地の起伏に沿った景色が展開されている。この本の主題であろう江戸時代の建物よりも、そんな風景にどきっとさせられる。
もし、わが街東京から建物を取り去ったら、どんな風景が現れるのだろうかという興味を子供の頃から持っている。
切っ掛けは通学で乗り換えていた渋谷駅だった。今は無き東急文化会館の前から銀座線の線路を眺めると、地下鉄が右手の丘の途中から顔を出し、高架を渡って、渋谷駅3階のホームに入って行く。「あぁ、渋谷はその名のとおり、谷なんだ」と気付いた。
そういえば、四谷も茗荷谷も地下鉄が地上に顔を出している。「やっぱり谷なんだ」、そう気付いてからは、地名と土地の形状との関係に興味が出て、時々小さな発見をして楽しんでいる。「三丁目」の映画でわかるように、当時の東京は建物が低く、坂道などから綺麗な夕日が眺められたわけで、江戸の風景はほんのこの30年で完全に失われてしまったのだろう。
江戸の風景といえば浮世絵がある。江戸名所の浮世絵と現在の景色を重ねることも結構楽しい。このムック本でも随所にそれが行われている。パラパラと眺めているうちに、そうだ「北斎展」をやっていたはずだと思い出し、先週末に江戸博に行って来た。
「北斎展」は最終日一日前ということで大混雑していた。頑張ってのろのろ進む(いやほとんど進まない)最前列に並んで、ひとつひとつ丁寧に観ていたら、結局見終わるのに3時間もかかってしまった。
北斎の大胆な画面構成は凄いのひとことで、やはり富嶽シリーズが圧巻だと思った。北斎漫画もじっくり見て印象が変わった。普段、滑稽な絵ばかりが取り上げられて、漫画という言葉の現代のイメージについ重ねがちだが、そうではなくて、驚愕する量の絵のお手本集であることを知った。

感激した作品も多かったが、一番のお気に入りは、「83歳の自画像」。その表情、仕草が生き生きとしていて、こんなジジイになりたいなと思った。座右の銘、ゴヤの「Aun aprendo」とならべて、僕の未来予想図に加えようか。
お目当ての江戸の風景も多々あり、楽しんだ。「東都葵ケ岡の瀧」という絵で、赤坂溜池近くに滝があったことを知り、家に帰ってから調べたら虎ノ門病院の脇の辺りのようだ。今度、あの近くに行ったら寄り道をしてみよう。
見終わって、外に出てみれば夕暮れ時。北斎を気取って、江戸博広場の大天井を大胆に入れ、場所中の国技館を富嶽に見立ててパチリ。「今風、江戸の黄昏」。
この広場は、南割下水(現・北斎通り)の延長線上に有り、北斎さんも眺めた空!
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コメント
オブさん
なんて素敵なお写真(夕景)なんでしょう
北斎も真っ青なスケールを感じる現代版富嶽ですね
信州にも小布施というところに北斎館があり葛飾北斎の作品が収められています
近くのお寺には寝転んでみる見事な天井絵も・・
いつか信州にいらしたらお寄りになってみてくださいね
小布施という町もこじんまりしていて懐かしさの漂ういい所です
投稿: びおれ | 2008/01/30 21:26
びおれさま。
びおれさんの写真には、とてもとても敵いませんが、褒めてくださってうれしいです。東京では、精一杯の夕景でしょうか。
20代、30代は信州担当の営業マンとして、富士通須坂・長野、TDK、富士電機松本、諏訪セイコーなどへ毎日のように訪問していたのですが、最近はトンとご無沙汰してしまっています。
ずっと信州の美しい風景に魅了されてきました。びおれさんのブログに伺うようになった切っ掛けも、そのあたりにありました。
小布施の天井絵には行けませんでしたが、栗鹿の子は、よくお土産に買って帰りました。いつか是非、信州旅をしたいと思っています。その時には、こっそり「すみれ屋」さんにも伺おうかとも。
投稿: オブ | 2008/01/31 06:14
オブさん こんばんは
そうでしたか信州にお仕事でいらしていた時期があったんですね
小布施の栗おこわも召し上がりました?
富士通、TDK、もしかしたら会社の中ですれ違っていたかもしれません
実は私のもうひとつの仕事、エンプラ、セラミックの精密切削など特殊機械加工の仕事に間接業務でかかわっています
今でもずっとオブさんがいらしていた会社とお付き合いいただいています
あまりにも偶然なお話でしたのでついコメントしてしまいました
こちらにいらしたら是非お寄りくださいね
こっそりでは無くお願いしますね
投稿: びおれ | 2008/01/31 20:53
びおれさま。
そういったお仕事もなさっているのですか。そういえば、時々のドライブ中のお写真はその移動途中のものですか。お店のきりもりや草花の手入れだけでもお忙しそうなのに、別のお仕事もされているなんて驚きです。
僕のほうは、あの当時は金属やガラスの加工だったのですが、ほんとうにすれ違っていたかもしれませんね。「あさま」や「あずさ」の車中でたっぷりと本が読めて、信州のおいしい空気も吸えて、良い仕事についたと思っていました。ちょっぴり冬は厳しかったのですが、そこにお住まいになっている、びおれさんにはただただ頭が下がるばかりです。
営業から離れて十年なのですが、変わってしまった所も多いのでしょうね。
投稿: オブ | 2008/02/02 05:26